ランチェスター戦略とは

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ランチェスター戦略とは

ライバルとの勝負で特別大事になるもの、それは「戦略」です。ランチェスター戦略の元となる「ランチェスター法則」では、戦略は2つに分類することができ、陣営に見合った戦略を執るべきだと説き示しています。これをビジネスに当てはめると、一つは、業界1位の座にある会社がさらに良い会社を目指して使う「強者の戦略」。そして、現時点で業界1位ではないがこれから1位を目指す会社が使う「弱者の戦略」となります。

業界の中で強者の戦略が使える会社は、全体の0.5%しかなく、99.5%は、弱者の戦略を使う立場になります。しかもそのうち40%は、競争条件が特別不利な「番外弱者」と位置づけられています。そうならないためにも弱者は弱者のルールに忠実に、弱者の戦略を用いて計画を立てていく必要があります。

もし弱者の戦略で計画を立てるべき会社が、間違って強者の戦略で計画を立て実行してしまうと、根本的に間違った仕事を全員で実行することになるのです。そうすると経営効率は低下、結果として粗利益も下がり、様々なロスが発生。戦略ミスから生じるロスは、音を立てることなく着々と進んでいくため、原因が戦略ミスにあることに気付かない人が多いのです。その結果社長は、原因は社員の働きにあるとし、社員の教育に力を入れようとします。しかし、社員が担うのは戦術であり戦略ではないため、いくら社員を改善しようとも成果は現れません。

戦略とは社長が考え、示していくもの。社長が自ら気付き、戦略を見直さない限り、業績は決して回復しないのです。

ランチェスター法則とは

1914年、今から100年ほど前、イギリス人のフレデリック・ウィリアム・ランチェスターが同年に勃発した第一次世界大戦に刺激を受け、戦い方には二つの戦い方があることを物理の法則で発表をしました。それを第一法則、第二法則と言います。

第一法則

第二法則

A軍が5人、B軍が2人で戦ったとします。この時の条件は一対一です。兵力数の差がどれだけあっても、一対一という条件であれば、双方の損害は常に同数です。これを数式に表すと、戦闘力=武器効率×兵力数となりますが、武器効率が同じであれば、第一法則支配下では、双方の損害率は同率となり、時間の経過とともに、同じ数だけの損害が出ます。

第一法則

A

損害2

B

損害2

(結果)戦闘力(質)武器効率×(量)兵力数

量に関わらず、
損害率は同じ

弱者の基本戦略

直接ぶつかり合う接近戦で戦う場合、兵力数にどれだけの差があっても、戦場の兵士は、目の前の敵兵と1対1で戦うしかありません。そうなると、武器効率は兵士の腕前という質のみとなり、それが同じと考えると確率論は5:5のイーブンになりますから、損害率は同じという事になります。

経営資源という量が不足している弱者企業は、質だけの勝負が出来る市場に絞り込み、強者企業が参入してきても一対一なら互角ないし、有利な展開が出来る局面を作り出せば、チャンスが出てきます。このことから、第一法則は弱者の基本戦略となり、量の勝負を回避する戦略となります。商品や地域、客層を強者企業と差別化することで、同質化から来る量のみの戦いを避けることが基本です。

更に細分化した考えが、局地戦・接近戦・一騎打ち戦・一点集中主義・陽動作戦となります。

第二法則

A

損害0.3

B

損害2

損害率について

(結果)戦闘力(質)武器効率×(量2兵力数2

量の差によって、
損害率は二乗比になる

強者の基本戦略

離れていても戦える武器になると、1対1ではなく全員が一斉に戦えることになります。そうなると、兵力数の多い方が極端に有利になり、兵力数が少ない方が極端に不利になります。これを数式に表すとこうなります。

先ずA軍の5人の内の一人は、B軍の2人から狙われます。すると確率は5分の2となります。
今度はB軍です。B軍の2人の内の1人は、A軍の5人から狙われます。すると確率は2分の5となります。

双方の分母を10に揃えると10分の4、10分の25となります。10を掃えば、4:25となり、見た目が5対2だった状況が、真の力関係を表す二乗比になってしまうのです。この数値は、A軍の損害率4、B軍の損害率25となり、その逆は、A軍の攻撃力25、B軍の攻撃力4ということになります。第二法則支配下では、見た目が5対2の関係であっても、二乗作用が働くと25:4の6.25倍という力関係になってしまうのです。この第二法則の戦い方は物量戦とも言われ、武器性能が同じ場合、後は兵力数の違いで攻撃力は二乗比の差になります。

第二法則の一例

例えば、同業者同士が、同じような商品を同じエリアに新聞の折り込みチラシを使って集客しようとしました。A店は1ヶ月に3万枚、B店は1ヶ月に1万枚のチラシを撒きました。折り込み枚数の差は3倍です。3:1の関係です。

第二法則の一例

数式に直すと、販売力=商品の質×広告宣伝量となり、この場合、商品という質は同質化していますから、市場に投入した広告宣伝量、チラシの枚数によって、お客からの問い合わせや来店の反応件数は二乗比になって現れます。

結果は9:1の反応件数となり、A店が圧倒的に有利になり、B店が圧倒的に不利になります。これが二乗作用が働いたという状態です。

第二法則の一例

第二法則の二乗作用とは、一位の会社のみに働く法則であり、強者の基本戦略となります。その逆に第一法則とは、2位以下の会社が、強者からの二乗作用から逃れるために使う法則であり、弱者の基本戦略となります。

第一法則 (結果=質×量)
2位以下が使う
弱者の基本戦略
第二法則 (結果=質×量2
1位が使う
強者の基本戦略

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